子どもたちの絵を見るのが大好物です。自由な発想で伸び伸び描く絵は本当に魅力的。
私が住んでいるマレーシアで時々見かける、絵画教室に飾られた子どもたちの絵。とても綺麗に描けている、でも似たような彩りで塗られて描かれた絵に少し違和感を感じてしまう自分がいました。
子どもと関わる仕事をしてきて、特に絵画表現について学生時代に研究したことが原因かもしれません。
かつて学生時代にグループ研究した内容、そして実際に子育ての中で実践してみたこと(別記事)と併せて紹介しようと思います。
ブログ記事にするにあたって、当時(1996年)の研究のまとめ冊子が自分の手元に残っていなかったので母校に残っているか確認したのですが残念ながら処分されてしまっていたようでした。私の記憶を元に記事にしていることをご了承ください。
子どもの絵3000枚を調べたグループ研究
学生時代に幼児の絵画表現を研究されていた恩師のもとで学びました。
この恩師が保存していた、幼児施設各所で子どもたちが数年かけて描いたおよそ3000枚にものぼる絵画をもとにグループ研究を行いました。
絵の内容を、
『絵の具を使って絵画表現をおこなってきた子どもたち』
『クレパス、色鉛筆などで絵画表現をおこなってきた子どもたち』
に振り分け、使用してきた画材の違いによって絵画にどのような発達の違いが見られるか、ということを調べたのです。
学生時代の私たちは、”とり扱いが簡単で、細かい部分まで描くことができる、クレヨンや色鉛筆で絵を描いてきた子どもたちの方が発達がより見られるであろう“という仮説を立てて研究を始めました。
幼児の絵画表現の発達とは
1歳を過ぎる頃から、こどもはなぐりがきを始めます。ただ、クレヨンを持って紙に打ちつけるように色をつけたり線をひいたりします。
そこから、ぐるぐると円を描けるようになり、その円に目鼻をつけ自分や家族といった身近な人々を描くようになっていく発達の段階があるのです。
『頭足人』(頭から手足が伸びている絵)と呼ばれる絵などは幼児期の特徴的な絵です。
発達がより見られたのは絵の具を使った子どもたちの絵だった
結果を言えば、絵画表現の発達がより見られたのは絵の具でお絵かきを続けていた子どもたちの絵でした。
頭足人から胴体のある人の形、線だけだった手に指が生えてくる、1人称だった絵から2人称、周囲のものを描き込む、そういった発達段階が固い画材(クレヨン、鉛筆)を使っていた子どもたちより早いということが見えてきたのです。
“とり扱いが簡単で、細かい部分まで描くことができる、クレヨンや色鉛筆で絵を描いてきた子どもたちの方が発達がより見られるであろう“
というわたしたちの仮説は外れました。
考察した結果、
*絵の具の色が混ざり合って変化する色彩の刺激
*筆の使い方によって線の太さや色の濃さなどの強弱が変わるという刺激
絵の具を使う際のこういった刺激や、何度も画材を使う中で無意識に実験を繰り返して表現することでそれが絵の発達にもあらわれるのではないかということに至りました。
この研究結果が短大を卒業後も心に残っており、勤めるようになってからは保育園の子ども達と、自分が母親になってからは、我が子と絵の具でのお絵かきをやってきました。
次回は、実際に我が家で絵の具遊びを実践してきたことを記事にしたいと思います。
どこかで子ども達の自由な表現遊びのお役に立てたら幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました!また遊びに来てくださいね!
おうちでお子さんと絵の具を遊ぶ際のコツをまとめました。
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