あたしは いまばり(老犬を保護した友人の話)

2016年に描いた絵本(14ページ)です。

道端でうろうろしていた痩せほそった老犬を友人が引き取り、最期の時まで時を過ごしたという内容です。最初は友人に対して心をなかなか開かなかった老犬が、心を許していく様子を友人の記録を通じて犬の目線から綴っています。ご覧ください。

そうね、、、
長い間、うろつき廻ったもんね 雨の日は寝るとこに困ったし、何日も食べるものがなくてさ、、、
でも、いつか家に帰れると信じてたの。それが。。。。
うーワン!ワン!
『自分に向かって吠えよる!!ウケる〜』
(エッ?! コレ、、、アタシ、、、? ガリガリやん)
あたし、色々あってさ、、、
疲れ果ててた頃に出会ったんだわ あのヒトに、、、
(ハァー身も心もボロボロ、、、キャッ!! ナンナノ!?)
「そりゃ!!おとなしくしなさい」
(ドコヨ ココ、、、)
「ふぅー」 ぽつん、、、、
それから六日目の朝、、、ガチャ「おーい」(ん??)
「ドライブしよっ」(コンドハ ドコツレテクノ、、、)
「君は今、私の素晴らしい出会いの”スパイラル”のひとつ、だから命名『いまばり』そして今日から私が君の”お母さん”です」
(エ、、、コノヒト ナニヲ イッテル、、、?)
今治タオルってタオルが好きすぎてタオル屋始めたばかりだったのね、あのヒト。そんで あたしを見つけて スパイラルのひとつだなんて言ってさ 「いまばり〜」「いまちゃん!」(何、勝手に変な名前で呼んでくれちゃってんのよ、、、)
「いまばり〜♫」 くるっ
(でも習慣って怖いわよね 振り向くようになっちゃったの、あたし、、、
え?もちろん いずれ出ていくつもりよ 私には大好きなお父さんがいるのよ きっと迎えに来てくれるんだ、、、
(付きあってあげてるだけよ、、、)「さくら〜♪さくら〜♫いつまで待っても来ぬ人と〜死んだ人とは同じこと〜フフン〜♫」
(ったくっっデリカシーのないヒト!!あたしのお父さんはきっと来るのよ!!)
(だからさ、噛んじゃうのあたし、、、あたしの心にずかずか入りこんでくるからさ、、、そしたら、、、)
「いまばり〜」(う〜〜〜〜ガブッ)「ギャッ うぅっ うっう』(な、、、泣くことないじゃない、、、)
あのヒト 泣かせちゃってからさ あたしもちょっとだけ 反省したわけ
ほら、色々(頼んでないけど)食べさせてもらったりさ 恩ってのもあるわけじゃない)
「ただいま〜」フリンフリン(ちょっとだけよ)
「キャー!!いまちゃんがしっぽ振った〜!!」
(グエッ) ガブリ あ、、、
(え、、、っとうん、、、噛んじゃったわよ、、、すぐ調子に乗るからさ、、、あのヒト、、、)
「でも 嬉しいよ〜〜」いまばり〜しっぽふった〜エーンエーン(また泣かせちゃった、、、)
「いまばりってさ〜なんさいくらいなの?」
「もう おばあちゃん犬なんだって。こないだお医者さん連れていったら言われた」「お医者までつれてったの〜」
「うん、今ちゃん女子だし避妊手術とかしてたのかな〜とか気になって」
「あんなガリガリの老犬ひきとっちゃってさァ いいヒトぶってんじゃん?」
「じゃ〜また〜バイバーイ」(二度とよぶか、、、)「いいヒトぶってるとか言われちゃった へへへ」
「老犬ってのもあるけど、、、末期のフィラリアだよ もうそんなに長くないと思った方がいい」
(ここに座るのも上手くなったわ)
「いまちゃんはわがままだから、きっと思うより長く生きると思う!
心配しないでごはんいっぱい食べてさ、治療に励みなさいね、お母さんがんばって働くぞー!!ハハ、、、ハ、、、」
(なんなの、、、?また泣いてるわ このヒト、、、)
ゆうやけこやけでひがくれて〜♫
「いまばり こっちだよ」ぐいぐい(あたしは こっちに行きたいのよ!!)
「こっちだってば!!やせてるわりに強いわね」ぐい〜〜〜(わかったわよっ!)ひょいっ
『ありぇ?!わぁあああ〜〜〜田んぼにダイブ〜〜〜」ぶあっっしゃ〜(あ、、、)
あ、、、ぐっしょり(あたし、、、今なら自由にどこでも行けるんじゃ、、、。)すっく
「いまちゃーん!ちょっとそこで待っててねェ〜! ここからは上がれないやぁ」
(どうして あたし動けないんだろう、、、今ならお父さんと一緒に暮らしたあの家、また探しに行けるんじゃないの、、、?)
「あぁ〜ん もう!!落ちちゃったし! さ!家に帰ろ!」「ただいまぁ〜っと」がちゃ
(家、、、あたしの家はもうここなんだね、、、)
それからあのヒトとの日々は楽しかった
「いまばりちゃん お店番?」
「内祝いでしたらこんタオルも、、、」「すてきねー」
「あー今日も働いたぁ〜 いまちゃんも一緒にねる?」すーすー ぐぅぐぅ
(あたしってモガ犬、、、)「似合う〜キャハハ〜」「いまばりすてき〜ヒヒヒ」
「もー散歩なんだからちゃんと歩いてよー」(疲れちゃったんだもん しょうがないでしょ)
(まだなの〜)「もうすぐできるよ〜」
「ちょっとーお尻冷えるからって雑巾に座ってないでよ〜掃除できないじゃん〜」(座りたいとこに座ってるだけよ)
おりょ?」すーすー「いまばり、お水飲みに来てそのまま寝ちゃったんだ〜(笑)」
(この日からのこと、あまりもう実は覚えていない、あのヒトがただあたしをひたすらに抱いて名前を呼んでくれてたってことだけ覚えてる)
「いまばり?」」「いまちゃん」「くっ、、、いまちゃん 行かないで うぅえぇ いまばりー」
(どこにも行きゃしないわよ、、、)
(どこにも行ったりしないわよ、ここがあたしの家なんでしょう?あなたの腕に抱かれてるのが心地いいから このまま少し眠らせてね)
「いまばり いかないで 」
(おやすみ お母さん)
(『いまばり』って名前をつけてくれて たくさん呼んでくれて 愛してくれてありがとう)
THE END

いまばりが虹の橋を渡ったのは2015年の5月。かれこれ7年になります。友人が当時SNSにアップしていたいまばりとの生活はコミカルでいて優しい。

この友人、実は以前紹介した絵本『Misty of CHUBBY』の主人公と同一人物です。

今はそう!タオル屋として頑張っています。彼女のショップのインスタ覗いてみてください、素敵だよ〜!

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