Netflixで放映が始まった『はじめてのおつかい』が海外で話題だそうです。
はじめてのおつかいが日本で放送され始めたのはおよそ30年前。
小さな子どもが、おつかいを頼まれてその任務を様々な形でやり遂げる。笑いあり涙ありの日本で大人気の番組ですよね。
私も大好きな番組で日本に暮らしている時は、小さな子どもたちの奮闘姿がただただ可愛らしくいじらしい、そういうふうに番組を見てきました。
我が家でも小学4年生になる息子がこの番組のファンになり、ここのところ毎晩のように Netflixで観ています。
その息子の姿を見ながら、私はふとなんとも言えない気持ちになるのですよ。
マレーシアで育つ我が家の子どもたち。
長女が生まれた時から、義理の両親には口すっぱくどこにいても子どもの手を放すなと言い聞かされてきました。ショッピングモールの中でも公園でも子どもから目を離すことは許されません。
なぜならマレーシアでは子どもの誘拐が頻繁に起こっているから。マレーシアは東南アジアでも暮らしやすく人々は優しい国だという印象を持っている人も多いでしょう。確かに今まで暮らしてきて怖い目にあったことには幸い出会っていませんが、現地の人々からはとにかく幼い子どもは注意が必要だと言われます。夫からは車の運転をする際にも必ずロックするようにと言われ続け、今ではそれは当たり前に。
常にどこか警戒心を持って行動するのが癖になっている気がします。
そんなわけで子どもたちをこれまで例え近所でも一人で出歩かせたことがありません。
学校から帰ったらランドセルをほっぽりだして友だちの家に遊びに行っていた自分の子ども時代と比べ、なんとつまらない子ども時代を送っているんだろう。。。5歳にも満たない幼い子が、おつかいに奮闘する姿を見て『うちの子はもう小学4年生になったが、一人でおつかいできるんだろうか。。。』なんて事を考えてしまうんですよね。
これからさらに身体は成長して大人に近づいていく子どもたちの精神はどうやって鍛えられていくんだろう。コロナ禍が重なり、圧倒的に子ども時代の経験値が少なくなってしまった子どもたちに、大げさいに言えば『生きる力(知恵)』はどうやったら身についていくんだろう。私は子どもたちを過保護にし過ぎてきたんではなかろうか。。。これはある意味罪なことではなかろうか。
日々、悶々とこの事柄が私の頭を巡っていました。
はじめてのおつかいを鑑賞する日々の中、日本に住む弟から私に突然LINEスタンプのプレゼントが届きました。本人が気に入って購入したものを私にもと気を利かせてくれたんでしょう笑。
「滝平二郎の絵本」というタイトルのスタンプです。滝平二郎さんはきり絵作家、モチモチの木という絵本を描いた方です。
モチモチの木のお話はまさに、今でいうはじめてのおつかい。
おじいさんと二人暮らしをしている豆太という臆病な5歳の男の子がある晩、具合が悪くなってしまったおじいさんのために必死にお医者さんのところまで夜の山を駆け降りていく。。。 そして豆太が目にしたモチモチの木。。。
保育士として働いていた頃に子どもたちによく読み聞かせをした絵本です。
ハラハラするお話の展開と美しい切り絵の描写に子どもたちは真剣に耳を傾けていたものです。
絵本の内容を思い出しながら、ふと臆病な豆太の姿と我が家の臆病な息子の姿が重なって、、、。
まぁ、そんなに悶々としなくてもいいじゃないか、という気持ちになったんです。
きっと人間はやらなきゃいけない、と思った時にはきっとやる。
逆にそう思わなければそうしない、ただそれだけのことなんではないか。
はじめてのおつかいに出た子どもたちも豆太もおつかいをやり遂げる原動力はきっと頼んでくれたお父さんやお母さんを喜ばせたい、助けたいという一心。裏心がないんです。だから感動する。
彼らがお使いを達成したのは、そこに自分でやらなきゃいけないという場面が訪れたから。
いつかはうちの子どもたちにも、自分のため、誰かのためにやらなくちゃって思う日が来て自分でそれを乗り越える日がグッドなタイミングで訪れる、そんなふうに思うことにしました。
そしてコロナ禍が明けようとしている今、私はマレーシアで子育てする中で少しづつ子どもたちの生活の経験を増やしていけるよう気楽に向き合っていこうと思っているところです。
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