先日、遂にマレーシアでもスラムダンクの映画が公開され私も映画館に足を運びました。今回の記事では、映画の感想や公開までのことについて綴っています。
映画化のニュース
2021年1月にスラムダンクの映画化が発表された。
スラムダンクが週刊少年ジャンプに掲載された頃、私は10代だった。
毎週火曜日、父親が仕事帰りに買ってくるジャンプを弟と奪い合って読んだものだ。
時代はジャンプ黄金期、名だたる漫画が連なる中でもスラムダンクは群を抜いて楽しみにしていた漫画だった。
20数年経ってスラムダンクが映画になる、というニュースは率直に嬉しい気持ちが大きかった。
ただこの時は、実際に自分が映画館まで足を運んで観に行くか問われたら、そこまでの思いはなかったかもしれない。
漫画は読んでいたけれど、TVアニメ化されたスラムダンクは観ていなかったから。
映画公開とチバユウスケ
そして、およそ2年の月日が流れて2022年12月3日にスラムダンクは日本で公開が始まった。
すると間もなく、YouTubeのおすすめ動画が私のもとに上がってきた。
映画のオープニング曲 The Birthday 「 LOVE ROCKETS」のMVだ。
動画を開いた瞬間、低いベース音から始まる不良なサウンドに一気に引き込まれてしまった私。
コメント欄に溢れる、映画のオープニングに対する絶賛の嵐。
私たち世代ならわかってくれる人も多いと思うが、The Birthdayのボーカルのチバユウスケは伝説のロックバンドTHEE MICHELLE GUN ELEPHANT(1996〜2003)のメンバーで、そのバンドは若者から絶大な支持を集めていた。
当時20代の私は仕事に向かう車中でミシェルガンエレファントの曲を流し、若いエネルギーとモチベーションを高めていたのだ。
チバユウスケの声が響くオープニング曲を聞いた瞬間に自分の中のエネルギーが再び沸き立つような気分になって、映画に対する思いが一気に増した。
絶対、観たい!と思った。
映画を観た人々の感想がTwitterや動画でどんどん上がってくるのを見ても期待が高まる。又吉直樹さん(ファンなのだ)が映画を絶賛し号泣したと言う。
大好きなエッセイスト岸田奈美さんの評論を読みたい気持ちをグッと抑え込む。
*映画を観た後、読ませていただき唸りました。さすがです岸田さん。
海外での映画公開
年が明けて2023年、私は風邪をこじらせてしまった。
映画は日本を飛び出し、韓国、台湾、シンガポールとアジア各国での公開が始まった。マレーシアにもじきに始まるに違いない。それまでにはこじらせた風邪をなんとか治めなければ。一体、いつ治まるんだコノヤロー。
焦りは禁物、大人しく引きこもりの生活を続け日常生活がようやく戻ってきたと感じた頃、遂にマレーシアでも映画が公開された。
普段、私から家族を映画に誘うことは少ないが、映画館で子どもたちにも観せておかねば、、、という謎の使命感が働き、半ば強引に夫、娘、息子を連れ立って映画館に足を運んだ。
映画開始時間は午後1時20分。
絶対、オープニングに遅れることはあってはならない。
映画館の近所で、簡単かつ素早く食事のできる惣菜ならぶ食堂で昼食をすませる。
映画館に到着すると、そこには息子の仲良しの友人家族の姿があった。彼らはちょうど映画を見終えたばかり。映画がとても良かったという感想を聞き談笑をしているうちに気づけば上映時間が迫っていた。
友人たちに別れを告げ館内へ向かう前に、ポップコーン売り場に並ぶ。
半ば強引に連れてこられた息子はポップコーンを食べるためにこの場にいるのだ。時間は1時18分。
はよ、はよしてくれ!(心で叫ぶ)
飲み物はセルフで入れて下さいと息子に渡されたコップを奪い取り、「何が良いの?」と捲し立て、コーラを注ぐ母親は私。こぼしたりしないようにコップを持つ手に全集中。
はやる気持ちと一緒にエスカレーターを登り入口へ向かう。
バーコードを機械にあてるのに手間取る夫からチケットを奪い取りそうになる心抑えてようやく私たちは映画館の席に着いた。
焦る必要なんて全くなかった、もっと穏やかな気持ちでコーラを注げば良かったと反省するほど知らぬ映画の予告映像が流れ続け、自分の体制も整った。
映画を観て
東映アニメーション、集英社の文字がスクリーンに映し出され映画が始まった。
映画が始まり、これまで観たアニメ映画と全く違うと感じた瞬間、あの曲が流れ出した。
身体が勝手に動き出す。足でリズムをとってしまう。貧乏ゆすりよろしく気持ちが昂る女の姿がそこにある。
オープニングでこれだけ痺れた映画がこれまであっただろうか。
この状態に映画の最中、幾度と陥ってしまった。
登場キャラクターが話す言葉が、英語、中国語、マレー語でスクリーンに同時に流れる。
そう、ここはマレーシアだと感じさせる異国で流れる日本の映画。
スクリーンに映る登場人物の邪魔にならないようにと配慮されたか、3つの言語の字幕が上にいったり、端に寄ったり。映画に対する海外チームの思いを感じずにはいられない。
現地の人の映画に対する反応が嬉しい。桜木花道の姿が物語で続く緊張をほぐして笑いが生まれる。
リョータの母親が過ごしてきた時間が、今の自分の年齢と重なってリアルに感じられる。リョータが事故にあって目覚めた時、病室の廊下に座り込むの母親の姿が印象に残る。感謝の祈りで手を合わせずにはいられない場面なんだよ、本当に。
幾度となく身体でリズムを刻み、息が止めて集中した映画はこれが初めてだ。
映画を観終わった後、夫がこう言った。
「20年以上経って、この映画が今作られて良かったね。」
技術面において、そして井上先生のこの言葉からも本当にそう思った。
「連載時、僕は20代だったから高校生側の視点のほうが得意というか、それしか知らなかったんです。そこから年をとって視野が広がり、描きたいものも広がってきた」 (Wikipediaより)
映画館で観られて本当に良かった。
それは、マレーシアでも愛される漫画を描いてくれた井上先生のおかげだ。
ちなみにマレーシア人の義姉は、コミック全巻に加えアニメのビデオも買い揃えた根っからのスラムダンクファンだ。
これから、この映画がもっと世界中で広まりますように。バスケットの本場アメリカでも上映してほしい!
長々と最後までお読みいただきありがとうございました。しばらくは映画の余韻に浸っていそう。
追記*最初はさほど乗り気でなかった子どもたち、家に帰り着くと早速LOVE ROCKETSを部屋に流しながらイラストを描いていた。(まだ人間をうまく描けないと言う息子は自分のキャラクターにスラムダンクを重ねて描いていた。)子どもたちもスラムダンク、ハマった!
追記*息子の学校の友達(マレーシア人)も映画を観に行った子が数名おり、映画の話で盛り上がったそう。一人の子は、毎日一人ずつ登場キャラクターの絵を描き、学校の掲示板に貼っているそうだ。スラムダンクを読んでいない世代の子どもたちも夢中にさせたって嬉しいな!
コメント